2006年度 先生方と経営者の 『共育懇談会』

「私の生きがい、 働きがい」
 

報告者 (株)伸電 小野敬司さん (入社2年目)

    

伸電との出会い・学校と社会との違い

 私は入社して2年目になり工事部に所属しています。 電気工事の仕事は天井や壁の中、 電気室など日常の生活では目に見えないところが大半をしめます。 地味なイメージですがとてもハードな仕事内容です。 子どもの頃から技術関係の仕事がしたかった私は電気科のある市内の工業高等学校へ進学し、 電気工事が勉強できる技術専門校へ進学しました。 午前中は学科、 午後は配線器具や電線を使用した実習で毎日が充実していました。 有意義な日々を過ごせたのは先生方の存在も大きかったです。 私が今まで出会った先生の中で一番信頼でき、 頼りがいのある先生でした。 悪いところはしっかりと指摘し厳しいところもありますが、 生徒に対して真剣に接してくれました。 その後電気工事士の試験も無事合格し、 先生と相談しながら一つの会社を志望することに決めました。 それが(株)伸電でした。
  面接の結果採用になり、 卒業前まで1ヶ月間研修社員として働くことになりました。 期間中は全てが始めての連続で先輩の手元でついていくものでした (手元とは作業をする人の支持を受け、 スムーズに仕事ができるよう道具や材料を準備して手渡しすること)。 私は自分がマイペースで行動が遅いので 「自分はこの仕事に合っているのだろうか?」 と、 とても不安になりました。 また、 学校で専門的に学んだことがいざ仕事で使うにも使えないことがショックでした。 言われた物を持ってくるにも道具や材料の名前も知らないので全く動けず、 学校で学んだことが全て通用するわけではないことを知りました。

自分にとっての一つの自信

 7月頃に始めて、 ある店舗の改修工事の現場に入りました。 始めての私にはとても忙しく見え、 邪魔にならないように端に寄ったりすることしか出来ませんでした。 工事の中で私はコンセントの電源工事を任されました。 分電盤から天井の中を配線し、 壁の中に電線を落としてコンセントを取り付ける作業ですが、 当時は天井にもあまり登ったことがなく見よう見まねでやっていました。 壁の中に電線を入れる時に穴を開けるのですが、 失敗をすると外から見える場所に穴が開いてしまいます。 特に時間をかけて失敗しないように何度も何度も確認をしながら作業をおこないました。 初めて電気工事らしい仕事をして、 無事成功した時は 「自分にもこれぐらいは出来るのだ」 と一つの自信になりました。
  また、 初めて一人でメンテナンスへ行った時のことです。 メンテナンスの内容は作業場の包丁殺菌灯 (ステンレスの箱の中に包丁を入れて青い光で殺菌するもの) の殺菌灯が点灯しないというものでした。 先輩からアドバイスをもらいメンテナンスに向かいました。 原因はグローランプが切れているだけでした。 しかし、 作業中はずっと後ろから見られているような気がして緊張と焦りから、 今なら5分ぐらいで終わる作業が20分以上もかかってしまいました。 作業も終わり、 報告をして会社に戻ったときは安心感と疲れが出てきました。 先輩から 「よくやったな」、 「ごくろうさま」 と声をかけられたときはとてもうれしかったです。

親方への想い

 最近は以前よりも一人で行動することが多くなりましたが、 1年目は誰かに付いていくことが非常に多く、 中でもベテランの親方に付いていくことが一番多かったです。 親方は腕も一流で仕事に対して非常に厳しく決して妥協はしない、 工事部での憧れの存在です。 厳しい親方ですが、 仕事と日常をしっかりと区別し、 仕事では厳しいのですが日常にはそれを持ち込むことはありません。 とても気さくな方でみんなから慕われています。 親方と行動して一番印象に残っているのは冬に旅館の改修工事の現場に行った時のことです。 工期が短く大変な現場でした。 3ヶ月間休みはなく、 毎朝7時には出社し片道1時間をかけて現場へ向かい、 家に着くのは夜の8時頃でした。 ほぼ毎日親方と行動し、 ほぼ毎日怒られていました。 作業中初めてみる作業内容に分からず考え込んでいると 「何、 ボーっとしてんだ!」 とか、 必要な道具や材料が分からない時は 「気が利かない奴だなあ!」 と言われ、 何度も 「もう辞めてしまいたい」 と思いました。 しかし、 辞めたいという気持ちは親方に怒られたからなのではなく、 「自分は何でできないのだろう」 と、 自分への苛立ちからくるものでした。 それでも自分が辞めなかったのは怒られるばかりではなく、 褒めてくれる時もあったからです。 その時は怒られたことなど忘れてしまいます。 今振り返ると小さなことでくよくよしていたなあと思います。 私は親方を尊敬しています。 今後も仲間としてお互いに信頼できる関係で在りたいと思っています。

先輩として、 会社の仲間として

 入社2年目に入り私にも後輩ができました。 昨年は早く仕事を覚えることが目標でしたが2年目はそれに加えて先輩として後輩に恥ずかしい姿は見せられません。 自分が成長していかなければ追い越されてしまいます。 今後、 後輩が二人、 三人と増えていくでしょうから先輩として良い模範となるよう更なる技術の向上を目指したいと思います。
  学生から社会人になり伸電で働いてきて仲間の大切さを知りました。 私は技術職ですが、 その中にも図面を書いたり、 見積もりをしたり、 という仕事が必要です。 また仕事を頂いてくる営業の方、 会社全体をサポートする事務の方がいます。 私一人ではとても全部できません。 みんなのサポートがあってこそ一人一人が能力を発揮でき、 会社が成り立つのだと思います。 今後もこの気持ちと今までの経験を忘れずに電気工事という仕事の更なる向上を目指していきたいと思います。



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